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2026/07/20
音楽コラム
昨日は大人の楽典講座。
今回の内容は和音の種類について。
一通り和音の種類をお伝えした後に、その中には含まれないけれども名前がついている特別な和音「増6の和音」について触れました。
増6の和音は、「ドッペルドミナントの第2転回形で、第5音が下方変位して・・」なんて言うともう記号も複雑だし、とっても面倒くさい・・ですよね。
ではなぜそんな面倒くさいことを学ぶのか。
「楽典」というのは、音楽に於ける文法のようなものですが、私はいつも思うんです。
本来なるべき形、普通はこうなるだろう、という形を知識として知っているからこそ、楽譜から、「普通」ではないことが起こっていることを読み取ることができるのではないかと。
知識がなくて、感覚だけでも何となく感じることはできるけれど、知識があると何が起こっているのかはっきりと良く見えるし、感覚だけでは見逃してしまうことにも気づくことができるのではないかな、と思うわけです。
そしてそれは、自信を持って演奏できるということに繋がっていくのではないかな、と感じています。
さて、昨日の楽典で取り上げた増6の和音は、ベートーベンの有名な交響曲、「運命」にも、大事な箇所で使われています。
赤丸の部分が「増6の和音」です。

この和音から1音だけ変えて、FisをFにしてみますね。

どうでしょう?これはc-mollのⅣの和音で、ごく自然な和声の流れですが、1音変わっただけで大分印象が異なると思います。ぜひピアノで弾いてみてください!
弾いてみると、なんとなく落ち着いてしまう感じで、緊張感がありません。
ではもう1つ。

こちらは、増6の和音ではAsだった音を、Aに変えてみました。どうでしょう?これはc-mollのドッペルドミナントで、先ほどよりは工夫があるように聞こえますが、まだなんというか、柔らかくまろやかな感じが否めません。
やはり赤丸で囲った増6の和音が、最も緊張感があり、強い印象を残します。
もう1曲だけ。こちらもベートーベンの有名なピアノソナタ「ワルトシュタイン」から少し。

こちらも赤く囲った部分が増6の和音でできています。
水色で書いたところが4小節フレーズで、普通の作曲家なら、赤丸の小節は付け加えず、自然な水色の4小節フレーズを経た後、自然にP(ピアノ)の部分につなげるでしょう。
それがベートーベンは、不自然な5小節フレーズにした上で、そこに増6の和音を持ってくるという・・
やっぱりすごい。。。感動する!
この赤丸の1小節があることで、こんなにも心を鷲掴みにするフレーズが作れるのか・・。
こんな風に、作曲家の工夫を見つけたら、「普通だったらどうなるか」という音も弾いてみると良いと思います。
「普通だったらこうなるはずのところが実際はこんな風に書かれている!」ということに気づくことができれば、聴きなれてしまったその曲が、より感動を持って新鮮に味わえるのではないでしょうか。
ぜひ、色々弾いて試してみてください^^
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